「テント倉庫建築のポイント」

テント倉庫とは？

テント倉庫とは、その名の通りテント生地でできた倉庫のことです。骨組みとなる鉄骨に、テント生地を張って屋根や壁を構成しています。

従来の鉄骨造やプレハブ造の倉庫に比べて、低コストかつ短工期で建設できることが大きな特徴です。また、デザイン性や機能性も高く、様々な用途に利用されています。

テント倉庫のメリット

テント倉庫には、以下のようなメリットがあります。

低コスト

鉄骨造やプレハブ造に比べて、軽量な構造のため基礎工事や地盤補強にかかる費用を抑えることができることと、簡易な構造のため設計費や施工費が削減でき、全体の建築費用が安く抑えられます。

短工期

主要な部材である膜材や軽量鉄骨を工場であらかじめ製作されるため、現場での加工がほとんど必要ありません。部材の現場搬入後は迅速に組み立てが進められるため、従来の建築工法に比べて大幅に工期が短縮できます。

移設・増設が容易

テント生地を張り替えることで、簡単に外装の改修ができます。また、解体して再設置を行うことが比較的簡単な構造であるため、事業計画の変更や成長に合わせて別の場所に移動することも可能です。

高いデザイン性

テント地の色や形を自由に選ぶことができるため、デザイン性の高い倉庫を建てることができます。土地の形状に合わせ三角形・ひし形・L字型などの多彩な形状が可能なことと、屋根の形も切妻型・円弧型・片流れ型など様々な形状を選ぶことができます。また、膜材のカラーも企業様のイメージに合わせたものを多数の中から選定可能です。

採光性

テント生地は採光性に優れているため、選ばれる膜材の色味にもよりますが日中でも照明を抑えた明るい倉庫内を実現できます。この特性により電力コストの削減が期待できることと、自然光を活用することで人工照明と比べて目の疲れを軽減するため、作業される社員様の集中力を高めることができます。採光性

断熱性

テント地には断熱効果のある素材を使用しているため、外気の影響を受けにくくなっています。夏は日差しを遮ることで涼しく、熱中症のリスクを軽減し、冬は暖房効率を向上させ熱を逃がしにくく、暖かい環境を保てます。

耐震性

テント倉庫は柔軟性があり、地震の揺れに強い構造です。鉄骨の骨組みが軽量化されており、地震の揺れに追従することができるため、地震による建物の被害を受けにくくなっています。

テント倉庫のデメリット

テント倉庫には、メリットだけでなく、以下のようなデメリットもあります。

耐久性

鉄骨造やプレハブ造に比べると、耐久性が劣ります。テント生地部分が紫外線や風雨の影響を受けやすく、経年劣化しやすいためです。ただし、近年では消防法やJIS規格に適応した高耐久のテント生地も選ぶことができるので、適切な維持管理を行えば長期的に使用可能です。

防犯性

テント生地は柔軟性に優れた素材で作られているため比較的破れやすく、防犯対策が必要です。防犯用のワイヤーネットや防犯カメラの設置を行ったり、テント生地を強度の高い素材にすることで、破れや切断のリスクを低減することができます。

耐火性

テント生地は燃えやすい素材のため、火災対策が必要です。ただしテント倉庫は国土交通省告示667号の規定に沿って建築することが定められており、最低でも防炎生地とする必要があります。保管するものや、建築予定地の条件により延焼の恐れがある場合は、不燃生地を使用するようにしましょう。

結露

換気が不十分で気温差が大きい場合、テント内に空気がこもりやすく結露が発生しやすくなります。結露が発生すると起こりやすいトラブルとして、シートの表面にカビが発生しやすくなります。また、水滴が原因で鉄骨に錆が生じやすくもなります。錆を放置すると鉄骨部分の腐食が進み、鉄骨の強度が弱くなってしまうため日常的に錆がつかないように管理することが重要です。

テント倉庫の種類

テント倉庫は、大きく分けて以下の3つの種類があります。

固定式テント

固定式テント倉庫は閉鎖型（屋根とすべての面に壁がある）になります。一般的なテント倉庫で常設利用する場合はこちらになります。費用面や使用用途、デザイン面などを考慮した様々な屋根形状があります。切妻屋根が一般的ですが、デザイン性と屋根の膜材の耐久性を向上させた円弧屋根や、増築や片側の開口部を大きく広げることに特化した片流れ屋根などがあります。

可動式テント

可動式テントには移動式テントと伸縮式テントなどがあります。キャスターによって可動可能なため、設置場所や倉庫の奥行を自由に変更できます。土地に定着しないからと言って建築確認申請が不要というわけではありません。簡単に動かずことができるかや、常設使用を行っているかなど、使用実態によって建築物としてみなされるかどうかが決まります。事前に確認を行っておきましょう。

開放型テント

開放型のテントには上屋テント（荷捌き用テント）や、開閉式テント（天井部分がワイヤーやレール式になっており開閉可能）などがあります。荷捌きのためにトラックを乗り入れして荷下ろしや積み込みの場所として利用したり、日差しを取り込みたいときはオープンにして使用したり、雨除けや風よけの際は閉めたりができる、環境に応じた対応ができます。

テント倉庫の費用相場

テント倉庫の費用相場は、以下の要素によって異なります。

目安としては、1坪あたり18万円～となります。

上記の価格には本体工事のみで基礎工事や外構工事、設備工事、申請費用などは含まれてないため、建築費用を把握するには、事前にお客様のご要望をまとめておくことと、ご要望に合わせた規模の建物を建てることのできる土地を決めることが重要です。

テント倉庫の用途

テント倉庫は、様々な用途に利用されています。

まとめ

この記事では、テント倉庫の特徴やメリット・デメリット、種類、費用相場などを解説しました。

テント倉庫は、低コストで短工期で建設できる、デザイン性や機能性に優れた倉庫です。用途に合わせて様々な種類から選ぶことができます。

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